伝統的な和楽器である尺八。
従来は、虚無僧のイメージなど、どちらかというと同じ日本という国の文化ではありながらも、身近なものとして感じられない楽器でした。
しかし、近年は和楽器バンドを始め、日本の音楽シーンにおいても和楽器を用いた音楽を耳にする機会が少しずつ増え、自然と尺八に興味を持たれる方も増えてきているかと思います。
このように耳にする機会が増えたことによって、尺八に興味を持って、始めてみようと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
少なくとも、このブログ記事にたどり着いた方は、興味を持たれた方であるはずです。
しかし、尺八はギターやピアノといったような楽器と比べると、何をどこで買ったらいいのかわからないという事が多いのではないでしょうか?
ここでは初心者におすすめの楽器を紹介したいと思います。
この記事の目次
品質の安定で選ぶべき
プロが使用する尺八の殆どは竹でできており、製管師と呼ばれる尺八づくりの職人が一本一本手作りで作られたもので、一本10万円以上、多くは20〜50万円くらいの価格の楽器になります。
製管師さんは日々技術を磨き、とても素晴らしい楽器を生み出しています。
しかし、天然の素材を使った手作りの楽器である以上、どうしても全く同じ楽器を作ることはできません。
そのため、どうしても品質には多少のばらつきができてしまうのは仕方のないこと。このばらつきは職人さんによって、その幅が大きなこともあります。
初心者には、この楽器の良し悪しを見分ける事ができないため、ハズレを引いてしまうと大きな出費とともに後悔することになってしまいます。
そのため、初心者が最初に手にする楽器は、値段が手頃で品質が安定している楽器を使い、ある程度楽器の良し悪しを見分ける能力が身につける必要があリます。
そのような初心者向けの楽器を紹介していきたいと思います。
日本コンダクター販売 プラスティック製尺八 『悠』
尺八を吹いている者なら一度は耳にしたり、手にとったことがある、尺八の世界では非常に有名な楽器なので、尺八業界の方からは今更何を言っていると言われてしまうかもしれません。
そのくらい、尺八業界では有名な楽器で、そのくらい尺八業界の人間なら誰もがその品質の高さを認識している、非常に優秀な楽器です。
Amazonやサウンドハウスなどのネット通販でも購入することができる
という入手性の高さも、おすすめするポイントの一つです。
もともと、名器と言われた楽器の型をとって作られているという話を聞いたことがあり、材質は異なりますが形状は名器に非常に近く、最初の一本としては申し分ない性能を発揮します。
値段もお手頃で、販売店や時期にも夜と思いますが、2万円を切る価格で購入できます。
また、和楽器バンドの神永さんのコラボ商品もありますので、神永さんファンであれば、少しだけ値段が上がりますが、その分でグッズが増えると思えば、決して高くはないと思います。
ちなみに、神永さんセットと、通常の単体商品との間に、楽器としての差はありません。
なお、悠と普段私が使っている、プロも使えるレベルの竹製楽器とを比較した動画をYouTubeで公開しているので、よかったら参考にしてみてください。
(音にそれほど大きく遜色がないことがわかると思います)
ワダ楽器 木製尺八「胡蝶」
続いては、木製の尺八「胡蝶」の紹介です。
こちらも、尺八業界では有名な楽器だと思います。
竹製の尺八は、その素材の性質により感想に弱く、特に冬場はどれだけ注意して保管していても、割れてしまうことがあります。
そんな、もしもの時のために、この胡蝶をスペアとして持っているなんていうこともしばしばあるようです。
実は、悠は1尺8寸の長さしかないのに対して、胡蝶は
1尺3寸から2尺3寸まで揃っている
ため、プロは長さの異なる複数の楽器を使い分ける際に、このような幅広いラインナップは非常にありがたいのです。
(何故、複数の楽器を使い分けるのかはここでは省略します)
木を削り出して作られている楽器で、型を使って整形される悠よりは統一された品質、ではないかもしれませんが、素材として竹と異なり、素材による個体差が少なく、形状も同じ形で作る事ができるため、非常に安定した品質になっています。
ちなみに、値段に幅があり、高級なものは10万円を超えるものもあるようですが、
初心者は直管の最も安いもので問題無いと思います。
月泉組 メタル尺八「月泉」
最後の候補として、メタル尺八「月泉」を取り上げます。
こちらの尺八は、中国製のアルミ製の尺八で、2019年年末頃から日本国内で流通し始めた、まだ生まれて間もない楽器になります。
従来の竹や木でできた楽器とは異なり、見た目が非常にインパクトのあるこの楽器、まだまだ改善の余地はあるものの想像以上によくできており、値段も2万5千円を考えると、初心者の選択肢として候補に入るものと思います。
その見た目故に、尺八を習いに行く場合には、先生が嫌がる可能性があるため、そのような場合は避けたほうが良いでしょう。
楽器の良し悪しもありますが、最初の一本としてこれじゃなければならないという理由は、見た目以外にはないので、先生に嫌われてしまったら、折角の尺八を始めたいという気持ちに水をさされてしまうので、そのような場合は、2本目以降に購入することをおすすめします。
購入の際は、twitterからDMを送って問い合わせしてみてください。
Twitterアカウント https://twitter.com/shaku8getsusen
なお、こちらも悠と同様にYouTubeにプロも使えるレベルの竹製楽器とを比較した動画をYouTubeで公開しているので、よかったら参考にしてみてください。
結論:おすすめの楽器はどれ?
いくつか初心者向けの尺八を紹介いたしましたが、この中で私個人のおすすめの一本を紹介します。
それはずばり
『悠』がおすすめ
です。
他にも初心者用の安い尺八はあり、それぞれのメリット・デメリットなどあり、一概に言えないと言われてしまうかもしれませんが、敢えていいます。
「悠」一択で良いです。
正直、他の選択肢は見なくていいし、知らなくても良い、それくらいこの一択だと思います。
実際、胡蝶も月泉も、2本目以降で必要になる、もしくは欲しくなる事があるかもしれません。
初心者の楽器、という以上に、別の目的で必要になる可能性はあるものの、1本目としては入手性や値段、品質、どれをとっても悠が最もバランスが取れていて、優れていると考えます。
尺八を始めたい方は、まずは悠を手にしましょう。
最後に
尺八は、最初の音を出すことが難しい楽器です。悠がとても素晴らしい楽器であっても、最初に手にした直後に音が出ることはないかもしれません。
自分にはセンスが無いんじゃないか?などと、諦めてしまうかもしれません。
しかし、尺八は、最初の音を出すことの難しさを考えると、そこから先、音をだすという壁と同じような大きな壁に出会うのは随分先になります。
一度音が出てしまえば、とても楽しい世界が広がっていきます。
音さえ出てしまえば、案外簡単な楽器なんじゃないかって思えると思います。
さあ、悠を手に入れて、尺八を始めてみましょう。
お読みいただきありがとうございました。